【在宅勤務内情調査】たった2週間で在宅インフラを構築?!導入する際にまず最初に考えるべきことは?

2020年08月04日 01:15 PM

その他


イエスウィキャンの在宅勤務をご紹介する、内情調査ブログ第4弾!

 

このシリーズは全5回でお送りしています。

 

第1弾:部下の管理や評価はどうしてる?社長は在宅勤務についてどう考える?

第2弾:在宅勤務で営業ってできるの?お客様とのやり取り・商談について

第3弾:システムエンジニアに在宅勤務について聞いてみました 

第4弾:たった2週間で在宅インフラを構築?!導入する際にまず最初に考えるべきことは? ←今回はここです

第5弾:経理の業務はClaris FileMaker をフル活用

 

 

第4弾の今回は以下の3つのテーマでお届けします。

・イエスウィキャン(YWC)のインフラ環境について

・各自が在宅勤務のために準備したこと

・アドミニストレーターTさんに聞く、在宅インフラ構築の裏側&本音

 

◇イエスウィキャン(YWC)のインフラ環境について

 

「各自が利用する端末は?」「会社の情報にどうやってアクセスする?」「セキュリティは?」などなど、在宅を始めるにあたりインフラ環境への懸念点は尽きないのではないでしょうか?

YWCでは自宅のPCから会社のPCにつなぎ、リモートデスクトップで遠隔操作をして作業をするという形で在宅勤務を実施しています。

 

YWCの利用しているリモートアクセスVPN(※1)はIPsec VPN(※2)という接続形態です。

 

MicrosoftのTeamsのみクライアントPC(自宅で利用するPC)にインストールをして、Web会議や業務時間中のやり取りのために利用しています。

 

ここで小ネタですが、クライアントPCのTeamsではなく、リモートデスクトップ側のTeamsを間違えて使ってしまい、「顔が映らない!」「マイクが使えない!」といった事件も当初はたびたび発生していました(笑)リモートでつないだPC側ではカメラやマイクが使えないためです。

 

 

◇各自が在宅勤務のために準備したこと

 

このブログシリーズの第1弾から第3弾で各メンバーにインタビューをしましたが、ほとんどのメンバーから「在宅勤務の準備が思っていたよりも簡単な設定だけで済んだ」と、インフラを担当しているアドミニストレーター部門の皆さん(通称、アドミさん)へ感謝する声が数多く上がっていました。

 

実際に各個人が行った作業をご紹介します。

①PCの準備

※基本的には個人のPCですが、PCを持っていない人には会社が貸し出しをしています

②(個人PCの場合)セキュリティソフトのインストール

③VPNの設定

④リモートデスクトップの準備

Windowsの場合:リモートデスクトップ(デフォルトで入ってるアプリケーション)で会社PCへ接続テスト

Macの場合:リモートデスクトップアプリのインストールと設定

⑤Teamsのインストール

 

②~⑤はアドミさんの方でマニュアルが用意してあり、メンバーはそれに沿って作業を進めていくだけでした。

実際に在宅勤務を始めてから、各自が必要だと思う備品(モニター・キーボード・マウス等)については会社から借りることができました。

また、無線LANを利用しているメンバーはより通信速度の速い有線を利用できるように、ケーブルやアダプター等の備品も貸し出しされました。

 

◇アドミニストレーターTさんに聞く、在宅インフラ構築の裏側&本音

 

上記に記載したように、各自がスムーズに在宅勤務を始められるように様々な準備をしてくれたアドミさんですが、準備をしながらどのように考え、どのような思いを持っていたのでしょうか?アドミニストレーターの部門長(通称Tさん)に聞いてみました。

 

―クリエーターMさんが5年前、在宅勤務を始めた際の話を聞かせてください

(クリエーターMさんはYWCで1人目の在宅勤務のメンバーです。詳しくは前回のブログで紹介しています。)

 

Mさんが始めた時は機械の設定やセキュリティの都合上、会社の特定のシステムには家からつなげることができないなど、在宅勤務ではできない作業も発生しました。

例えばシステム開発は家でできるけど、経費の精算はできないとかですね。

自宅からできる業務と会社でしかできない業務を分ける必要があったのが大変でした。

クリエーターMさんの場合は週に2回は出勤をしていたので、その時に自宅でできない作業をしてもらうようにしていました。

全員在宅勤務に変わる際、その設定や仕組みは変更しました。

 

 ―自身が在宅勤務を始めた時のことを聞かせてください。

 

僕の場合は、子供が生まれて、育児をするために2年ほど前に在宅勤務を始めました。在宅勤務を始めた当初はクリエーターMさんと同じように会社と自宅で業務を分けていましたが、僕はネットワークに関する変更を自分でできる立場なので、不便だと思ったらその都度環境を変更したり、在宅勤務時のセキュリティのイメージを構築していました。

いずれかはメンバー全員が在宅勤務を自由に選択できるような仕組みを作るために、開発環境サーバーを移動しないといけないな、新しく機械を購入する必要があるな、クラウドのサービスを導入しなきゃいけないなど、半年から1年のスパンのスケジュールでイメージをしていました。

それが急遽新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2週間という期間で全員が在宅勤務できるように準備をすることになりました。

ただ、2週間で全部が完了したわけではなく、2週間で最低限のラインまで準備し、その後も並行して環境を整えているような状態です。

 

―在宅勤務の環境を整える上で一番大切なことはなんですか?

 

インフラ環境を決めることよりも先にまずは「会社がどこまでを許容するか」を決めることが一番重要だと思います。

セキュリティとして守らないといけないことを明確に決めておくことで、インフラ環境に何が必要かということが分かってきます。

例えば先に「VPNを使おう!」から準備を始めてしまうと、「あれこんな時にVPNだとダメなの?できないの?」と他の問題が出てきてしまいます。

会社のセキュリティポリシーをきちんと定めて、在宅勤務でどこまでの作業やアクセスを許容するのかというのを先に決めておくことが一番重要だと個人的には思っています。

 

実際にYWCの場合は、利用しているクラウドサービスもアカウントとパスワードさえ知っていればどこからでもアクセスができます。ですが会社のポリシーとしては会社のPCからしかアクセスしちゃダメという決まりになっています。そうなると会社のPCにログインして作業する必要がある→リモートデスクトップ方式にしよう、といった流れで仕組みが決まりました。

 

―Claris FileMaker を利用する・しないで在宅勤務用のインフラ整備の選択肢は変わりますか?

 

変わると思います。

(開発の会社であるYWCは)Claris FileMaker Proというソフトウェアを使える環境を用意する必要があります。もしも開発がweb上でできたら、必ずしも会社のPCにつないで作業しなさい、という必要がなくなるかもしれません。

 

―在宅勤務の準備を進めていくうえで一番苦労したことは何ですか?また、どのように改善しましたか?

 

1つ目はVPNの用意です。

個人の自宅の環境によっては用意していたVPNが使えない人がいました。結果としてプロトコルが異なる2種類VPNを用意することで解決しました。

自宅のルーターによっては利用できないVPNもあります。

2つ目は各メンバーの作業効率を下げないためにはどうしたらいいか、ということです。

例えば通信環境が遅かったり、個人PCが古くて動作が重かったりとかがありますね。また、会社では全員がデュアルディスプレイ(※3)でしたが、それがノートPCだけになるとどうしても作業効率は落ちてしまいます。

これに関しては会社の備品を持って帰って利用してもらうことや、有線LANを使えるようにケーブルやアダプターを用意することで対応しました。

 

―いまだに「これが課題だ……」ということはありますか?

 

直接機械(PC)を触らないと解決できない、リモートデスクトップではどうしようもないという問題が発生したときの対処がいまだに課題です。

 

例えばPCが突然シャットダウンしてしまった場合ですが、これは問題ありません。遠隔でPCを起動することができます。

ただ、PCがフリーズしたり、PCの調子が悪く接続ができない場合に強制的にPCを再起動することは直接操作をしないとできません。

 

遠隔で強制的にPCを再起動する技術はあるのですが、それはPCに直接組み込む機能(機械自体に内蔵させる機能)なので、今の会社PCでは残念ながらできません。

だから誰かのPCがそういう状態になってしまった場合は、会社に出勤している社長に直接再起動をお願いするしか現時点では手立てがありません……(笑)

 

―今後の展望をお聞かせください!

 

VPNをなくしたいと思っています。さらにリモートデスクトップの利用ですらなくしたいです。

ざっくりとしたイメージだとAWS(※4)上に会社のPCを用意して、会社からも自宅からもつなぎに行けるといったものです。

これだとどこから接続しても会社のセキュリティポリシーは守られますし、ネットワークトラブルもAWSだからそうそうないと思います。

具体的にどう実現するは悩み中ですが1年、2年かかるものだとは思っています。

 

―最後に一言お願いします。

 

在宅勤務がスムーズにできているのは僕らアドミニストレーターのおかげという声がありますが、個人的には対応しているそれぞれメンバーがすごいと思っています。今回のように会社のシステムを大幅に変更すると大体文句や意見が出てくるのが普通だと思います。

ですが文句を言うメンバーはおらず、それぞれが「まずは自分で何とかしてみよう」という姿勢だったので、かなりスムーズに導入ができました。

その弊害、というのもちょっと違いますが、メンバーが言わないような小さなトラブルや意見をすくい取ることが難しかったです。そのケアができていたかどうかは何とも言えません。

 


インタビュイー:アドミニストレーター部門長Tさん

 

VPN※1
「Virtual Private Network」の略語で、インターネット上にプライベートな専用線を用意して、セキュリティ上安全な経路を使ってデータをやり取りすることです。

IPsec VPN※2
インターネットVPNの中の1つです。通信内容を暗号化することでセキュリティを確保します。

↓VPNについて詳しくはこちら↓
VPNとは?その基本から安全なVPN接続を徹底解説(サイバーセキュリティ―.com)

デュアルディスプレイ※3
2つディスプレイ(モニター)を使って同じコンピューターから同時に出力すること。

AWS※4
「Amazon Web Services」の略称でAmazonが提供している100以上のクラウドサービスの総称です。AWS公式サイト

 

 

<インタビューを終えて>

いち社員としてはアドミさんのおかげで、ストレスなく、会社とほぼ変わらない環境で自宅で働けていて、とてもありがたいと思っていましたが、Mさん的にはまだまだ100点にはほど遠い状態とのことでした。(50点ぐらいとのこと。低い!)もちろんセキュリティ面など、普段の勤務中は気にならないような部分でまだまだ改善する余地がある、とのことかなとは思いますが、今以上にインフラ環境がよりよく変わっていくと思うと、とてもワクワクしました。

 

今回は内容が盛りだくさんとなり長文になってしまいました。

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

次回は最終回第5弾:『経理の業務はClaris FileMaker をフル活用』をお届けします。