第3回「バージョンアップ時の注意点-カスタムApp&FileMaker Pro編-」
2022年05月13日 10:52 AM
バージョンアップ
全4回にわたって、FileMaker専門の開発会社の視点で
バージョンアップにはどんな準備が必要で、何に気を付けたらいいのか
わかりやすくご説明をさせていただいております。
第1回目はこちら↓
「FileMaker のバージョンアップとは?」
第2回目はこちら↓
「Claris FileMaker のバージョンアップの方法」
第3回の本ブログでは、バージョンアップをする際の注意点をご紹介したいと思います。
バージョンアップを行う前に、ぜひご一読ください。
では、早速参りましょう!
1. 廃止された機能を確認しよう
旧バージョンで使用していた機能が、新バージョンでは廃止されていたり
仕様が変更になっていることもございます。この部分の確認は大切です。
正常に動作しない場合、ファイルの改修が必要となります。
こちらではfmp12から廃止された機能と仕様変更になった機能の代表的な例を記載しました。
これらの機能を使っている場合はバージョンアップをする前に対策を検討する必要があります。
<代表的な例>
■廃止された機能
・スタンバイサーバー
・インスタントWeb
・【許可される向きの設定】スクリプトステップ
■仕様変更になった機能
・MDI(マルチドキュメントインターフェイス)とSDI(シングルドキュメントインターフェイス)
・メール送信機能
Claris FileMaker Pro のバージョンとビット数、メーラのバージョンとビット数の組み合わせにより、
正常に動作しないケースがございます
詳細は以下のサイトご参照ください。
- Claris社のナレッジーベース (「廃止」で検索します)
- FileMaker 19 – 廃止予定の機能およびオペレーティングシステム
- 「Claris FileMaker 製品アップグレードガイド」19.4更新版(PDF)
廃止された機能の確認と仕様変更になった機能の確認が終わりましたらファイルの調査となります。
2. ファイル分析しよう
なぜバージョンアップの際にファイルを分析するのか?
何を分析するのか?
バージョンアップにおいて、一番時間がかかる作業はバージョンアップ前との違いを確認することです。
バージョンアップを行う前に、カスタムAppのレイアウトのテーブルやフィールド、リレーションの数や、エラーの数などを分析しておくことで、バージョンアップ後の確認作業にかかるボリューム感がわかります。
ここからは分析・解析ツールについて簡単にご紹介します。
FileMaker にはデフォルトの機能で、カスタムApp の構成などがわかるデータベースデザインレポートを出力することができます。
DDR(データベースデザインレポート)
DDRはFileMaker Proの「高度なツール」を使用して生成される、ソリューション内のすべての要素をドキュメント化したものです。
調査したいすべてのソリューションファイルを開き、[ツール]メニューの[データベースデザインレポート]をクリックします。
HTML形式もしくはXMLでテーブル、リレーションシップ、レイアウト、スクリプトなどの数や構成を把握することができます。
解析ができる第三者ツール
解析ツールはいろいろあり、主に
・InspectorPro(Beezwax Datatools社)
・FMPerception(Geist Interactive社)
・BaseElements(GOYA社)
が代表的です。
上記の中で弊社も利用しているBaseElementsは、オーストラリアのGOYA社が開発をして日本では株式会社スプラッシュ様が販売をしております。
データベースデザインレポートに記載されている計算式やスクリプト、フィールドなどのスキーマの情報を検索し、その依存関係を確認することが出来るカスタムApp解析ツールです。
Goya社
https://goya.com.au/
https://baseelements.com/
スプラッシュ様のベースエレメンツに関するサイト
https://splash.jp/store/baseelements/
バージョンアップ前とバージョンアップ後のファイルの分析結果からエラーの差などを比較することもできます。
3. FileMakerファイルの動作確認
■よく聞くバージョンアップ後の変化
・行間や文字位置が変わり、見た目が変わる
・印刷物の罫線がズレたり、見えにくくなる
・空欄の扱いが変わり、計算結果や集計の値が異なる
・SDI (シングルドキュメントインターフェイス) の採用により、ウインドウの見え方が大きく変わる
などを目視で確認します。
■動作検証の注意点
例えば、通常業務で行う動作は一通り確認しますが、
・月末にしか使用しない処理
・年に一度しか使用しない機能
・人事部のAさんしか使わない機能
など、特定のタイミング・人しか使用しない処理や機能はピックアップして事前にチェックすべき点を明確にしておかないと、バージョンアップ後に実行して処理がうまくできず業務に支障をきたす場合がございます。
バージョンアップ後もバージョンアップと同じ操作ができるように、1つ1つ画面ごとに目視チェックや動作検証を行うことが大事です。ですので、バージョンアップでは確認作業に多くの時間を要します。
オマケ:思い切って外注しよう!
弊社では今まで紹介してきたようなバージョンアップに係わる作業を一気通貫でお手伝いさせていただいております。
「自分たちだけでバージョンアップを行うのは少し不安」
「Claris FileMaker に詳しい人がいないので全部任せたい」
「動作確認に時間をかけたくない」
また、レイアウトの確認は自分たちでできそうなので、それ以外をサポートしてほしい
というような一部の対応でも、お客様のご要望に合わせたサポートをさせていただきます。
大事なシステムをバージョンアップ後も安心してご利用いただくために、
ぜひ、最適な方法をご検討ください。
次回は FileMaker Server 編です。
→第4回「バージョンアップ時の注意点- FileMaker Server 編-+オマケ」