FileMakerの「iOS App SDK」を使ってみよう 2 -「ターミナル」から「Xcodeプロジェクト」を作成
2016年06月06日 10:00 AM
FileMaker 16以前
FileMaker iOS App SDKについてご紹介するブログの第2回です。
目次
1.SDKとは
2.準備するもの
3.準備:「ターミナル」から「Xcodeプロジェクト」を作成
4.設定方法:「Xcodeプロジェクト」での各種設定
5.シミュレーション:「シミュレータ」「実デバイス」での動作確認
第1回のブログでは「1.SDKとは」「2.準備するもの」として、SDKを使うために必要な以下のツールや入手方法についてご紹介しました。
・iOS App SDK
・Xcode7
・アプリにしたいFileMakerソリューション(ファイルのことです)
今回は、「3. 準備:『ターミナル』から『Xcodeプロジェクト』を作成」と題し、FileMaker iOS App SDKを使うための準備についてご紹介していきます。
(※前回から目次を修正しました。)
ターミナルを使い慣れている方はFileMaker社のKnowledge Baseに掲載されているこちらの記事を参考に先にお進みください。
iOS App SDK Instructions
http://help.filemaker.com/app/answers/detail/a_id/15531/kw/sdk
3.準備:「ターミナル」から「Xcodeプロジェクト」を作成
さて、前回のブログで「FileMaker iOS App SDKはXcodeでアプリを作るためのツール」であり、「Xcodeとは、Apple社がリリースしているアプリケーション開発用のソフトウェア」であるとご紹介しました。ここで、Xcodeについてもう少しだけご説明したいと思います。(「詳しく正しく知りたい」という方はApple社のドキュメントをご参照ください。
Xcodeは「Apple製品上で動作するアプリケーションを開発するための統合開発環境」です。「統合開発環境」という表現のとおり、Xcodeにはアプリ開発以外にも様々な機能があります。アプリのテストを支援するフレームワーク、ソースファイルの変更内容を自動保存する機能、各種アカウントの管理など、アプリを開発・配布・運用する上で必要となる作業の多くをXcode内で管理することができます。この管理の単位を「プロジェクト」と呼び、アプリごとに1件ずつプロジェクトを作成することになります。通常はXcodeの「Create a new Xcode project」メニューから新しいプロジェクトを作成し、そのプロジェクトの中でアプリを開発します。
下図はXcodeを開いたときの画面です。赤枠が「Create a new Xcode project」メニュー、右側の3つのアイコンは「Create a new Xcode project」メニューから作成された各プロジェクトを表しています。
ところが、FileMakerのiOS App SDKの場合は、Xcodeの「「Create a new Xcode project」メニューではなく、「ターミナル」という別のアプリケーションからXcodeの新規プロジェクトを作成します。(ここが少しややこしいです。)
大まかな流れは以下になります。
1) iOS App SDKフォルダを任意の場所に保存
2) ターミナルを開く
3) ターミナルでiOS App SDKフォルダの場所を指定
4) ターミナルで新規プロジェクト作成コマンドを入力
5) ターミナルでコマンドを実行
実際の手順を、画像を交えて確認していきましょう。
1) iOS App SDKフォルダを任意の場所に保存
はじめにiOS App SDKフォルダをMacの任意の場所に保存します。今回はデスクトップに置きます。
2)ターミナルを開く
「ターミナル」を開くと(どこから開けばいいか分からない場合は画面右上の虫眼鏡アイコン「Spotlight検索」で探しましょう)、下図のような小さいウィンドウが表示されます。これが「ターミナル」です。ここに文字を入力することでPCに特定の処理を実行させることができます。今回は、「FileMaker iOS App SDKを使ったXcodeの新規プロジェクトを作成する」という処理を実行させます。文字にすると少し難しそうですが、実際には2行入力してReturnキーを押すだけです。
3)ターミナルでiOS App SDKフォルダの場所を指定
「ターミナル」に以下の内容(コマンド)を入力し、iOS App SDKフォルダの場所を指定します。「コマンド実行対象のディレクトリ(場所のようなもの)として<iOS App SDKフォルダの場所>を指定する」というような意味です。
cd <iOS App SDKフォルダの場所>
「ターミナル」では、画面の上にフォルダをドラッグすると、コマンドを入力しなくてもフォルダの場所を指定することができます。「cd(半角スペース)」を入力した後、その右側にiOS App SDKフォルダをドラッグすれば、下図のようにiOS App SDKフォルダの場所がターミナル内に入力された状態になります。
ここでReturn キーを押し、ディレクトリを移動します。一行増えた状態になります。
(この辺りの正確な動作が気になる方はターミナル関係のドキュメントをご参照ください。)
4) ターミナルで新規プロジェクト作成コマンドを入力
Xcodeのプロジェクトを作るために以下のコマンドを入力します。
./makeprojdir <NewAppDir> <appName> <bundleIdentifier>
< >で囲まれた部分はアプリごとに任意のものを入力し、各単語の間は半角スペースを入れます。今回は以下のように入力しました。
./makeprojdir $PWD/YWCtask YWCtask com.ywc.YWCtask
NewAppDir :プロジェクトを作成する場所(ディレクトリ)とその名前です。今回は「$PWD/YWCtask」としました。「$PWD/YWCtask」とは、「現在ターミナル上で指定している場所に<YWCtask>という名前のディレクトリを作る」という意味です。
appName :アプリの名前です。今回は「YWCtask」としました。
bundleIdentifier :アプリを識別するために使われるものです。通常は逆ドメインとアプリの名前を組み合わせたものを指定します。今回は、組織のドメインが「ywc.com」、アプリの名前が「YWCtask」なので、「com.ywc.YWCtask」としました。
全体としては、「現在ターミナル上で指定している場所に<YWCtask>という名前のディレクトリを作り、そのディレクトリにbundleIdentifierが<com.ywc.YWCtask>、アプリ名が<YWCtask>のプロジェクトを作成する」という意味になります。
入力後のターミナル画面は下図のようになります。
5)ターミナルでコマンドを実行
Return キーを押してコマンドを実行します。5秒ほど待ち、ターミナル内に下図のような新しい行が作成されていれば、正しく新規プロジェクトが作成されたことになります。
デスクトップのiOS App SDKフォルダを確認すると「YWCtask」というフォルダが作成されているはずです。
このフォルダの中に「YWCtask.xcodeproj」というファイルがあります。これが、今回作成するアプリのXcodeプロジェクトになります。
いかがだったでしょうか。FileMakerプラットフォームの良いところはプログラミング言語を知らなくてもカスタムAppを作成することができる点です。「ターミナル」や「コマンドを入力する」という単語が出てくることに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、「ターミナル」を使うのはここまでなのでご安心ください。
次回は、Xcodeを開いてアプリのアイコンなどを設定していきたいと思います。
引き続き、ご覧いただければ幸いです。
その3はこちら→