FileMaker 17 の新機能 ~スクリプトステップ その2~

2018年06月04日 10:00 AM

FileMaker 17


FileMaker 17でいくつかのスクリプトステップが変更・又は追加されました。

前回に引き続き、以下のステップをご紹介いたします。

 

4、[スクリプト実行][サーバー上のスクリプト実行]での[名前で指定]オプション

5、[メールを送信]での複数ファイル添付

6、[カスタムダイアログを表示]の入力フィールドとして変数が利用可能

 

 

4、[スクリプト実行][サーバー上のスクリプト実行]での[名前で指定]オプション

[スクリプト実行][サーバー上のスクリプト実行]ステップで、スクリプト名を指定できるようになりました。この際、計算式を使うことができます。

 

「名前で」を選択すると、「計算式の指定」ウィンドウが開き、スクリプト名を指定できるようになっています。計算式を使わずにスクリプト名を指定するときは、「“”」で囲んだスクリプト名を入力します。

 

ただ、「スクリプト名」はフィールド名などと異なり一意であることを強制されるものではありません。

 

「同じ名前のスクリプトが複数ある」という場面は少ないと思いますが、このステップを使う際は、スクリプトの命名ルールやその運用に注意する必要があります。

 

 

5、[メールを送信]での複数ファイル添付

[メールを送信]スクリプトステップで、複数のファイルを指定できるようになりました。

オプションウィンドウの左下にある[ファイルを添付]から開くウィンドウで、複数パスを指定できるようになっています。

 

 

6、[カスタムダイアログを表示]の入力フィールドとして変数が利用可能

[カスタムダイアログを表示]の入力フィールドとして変数を指定できるようになりました。

 

入力にはパスワード文字を使うこともできます。

 

例えば、カスタムダイアログを使って、独自の「サインインダイアログ」を作成する場合を考えてみます。

 

「カスタムダイアログを表示」のオプションウィンドウの「入力フィールドタブ」には、

ユーザが入力した値を保存する箇所を指定する項目があります。下図の「指定」ボタンから開く「ターゲットの指定」ウィンドウがそれです。

 

 

 

V16までは、この「指定」ボタンを押すと「フィールド指定」ウィンドウが開き、「フィールド」のみ指定できました。

 

 

V17では、ウィンドウタイトルも、「フィールド指定」から「ターゲットの指定」に変わり、フィールドだけでなく「変数」も指定できるようになりました。

 

 

 

「カスタムダイアログを表示」で「カスタムダイアログを表示オプション」ウィンドウのキャプチャのように指定したスクリプトを実行すると、下図のようなダイアログが表示され、デフォルトのサインインダイアログと同じようにユーザが入力することができます。

 

 

このとき変数「$account」には「家洲太郎」が、「$pass」にはパスワード文字として伏せられた入力文字列が保存されています。この変数を使い、ログイン者の属性やデバイスによって、その後の処理を分岐させることができます。

 

デフォルトのアカウントロック機能を使わずにログインしたいときなどにもこのような独自ダイアログが使えますが、この例の場合、パスワードはあくまでも変数に格納された値なのでデータビューアを使えば内容を確認することができてしまいます。

 

 

そのため、実際に運用する際は、完全アクセス権をもつアカウントの利用方法、「データビューア」を含む「高度なツール」の利用者の範囲、などを考慮して実装する必要があります(「高度なツール」の利用をアプリケーションのインストール時に制限することもできます。詳しくはこちら→)。

 

「独自サインインダイアログ」以外でも、ユーザの入力内容によってシステムの動作を制御する場合、今まではグローバルフィールドなどを用意して一時的に値を保存していましたが、この新機能を使えば、余計なフィールドを作成したり、一時的に使用したフィールドの値をクリアすることを考えずに、ダイアログの入力内容を活用できそうです。

 

 

<まとめ>

V17でのスクリプトステップの拡充には、目立って大きなものはありませんが、今までのバージョンでその動きを実現するためには一工夫必要だったものがデフォルトの機能でできるようになるなど、開発時間の短縮につながるものばかりです。「独自のアプリケーションを作りたい」とお考えの皆さまにとってFileMakerプラットフォームがより身近なプラットフォームになれば嬉しく思います。