病院内でデータベースを一元化しファイルメーカーのシステムと連動をさせる

2013年10月07日 10:00 AM

導入事例


1. 概要

自由が丘と戸越にある人工透析内科柴垣医院は、医療機器を最新のものとし、IT化を進めることで、業務の簡略化を進めてきました。P1050233データベースの一元化、ファイルメーカーによる業務支援、看護記録の作成、災害時マップなどのシステムを作成し、iPadを活用しどこでも閲覧・入力ができるようにしました。

そうしてシステム化することでヒヤリハットを減らし、且つ簡略化させたことで空いた時間を患者さんへ還元するよう努めています。

 

 

 

 

2. システムの詳細

①データベースの一元化

柴垣医院では、電子カルテや透析支援システムなどの大きなシステムから、業務支援システムや看護記録、ヒヤリハット記録、災害マップなどの細かいシステムまで8~9種類ほどのシステムを使っています。通常これら複数のシステムを使う際に問題となるのがデータベースの一元管理で、特にそれぞれのシステムを別々の会社が作成した場合、情報開示等の問題でなかなか一元管理ができず、名前や生年月日などの同じ情報を、それぞれのシステムに個別に入力しなければならないということは珍しいことではありませんでした。柴垣医院では、システムの導入にあたって、データベースの一元化をすることで、システム同士の連動を図り、業務の効率化を図ることに成功しました。

②業務支援システム

業務支援システムは、ベッドの空き状況の管理を行うシステムです。

(1) 透析終了
(2) ベッドの準備ができ次第、システムのステータスを「空き」にする。ベッド状況を受付でも確認でき、患者さんをすぐに案内できるようになっています。
(3) 患者さんの持っているカード(体重を測るもので必ず一人一つ持っている)のバーコードを読み込んで本人確認をします。
(4) ベッドサイドにつけたバーコードを読み込んで場所が合っているかの確認をします。
(5) 実際に用意されている注射器やダイアライザーのバーコードを読み込むと、予め表示されている各薬剤の名前の横にOKが表示されます。

実行済みになっていないものに関しては、チェックを忘れているまたは漏れているということがわかるようになっていて、業務の状況が表示されるようになっています。

透析中の記録は、ケアボードに入力し、歩き回って行うような業務をiPadを使って認証システムで行っています。
↓ダイアライザーのバーコードを読み取るとOKが出る。   ↓ベッドの空き情報
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③他システムとの連動

ヒヤリハットの記録

一人1台ずつiPadを持ち、何かあったらその場で入力ができるようにしています。ある程度簡単な理由(見落としていた、漏れていたなど)はリストから選べるようなっており、また見た人が記録されるようになっていて、情報共有ができるようになっています。またPC版では自動で統計がとれるようになっています。

フットケアの看護記録

患者の基本情報(名前など)や過去にどんな記録を取ったのかを電子カルテから自動で表示させ、入力を選択式にすることで簡易化し、写真を撮って取り込んだり、絵を描いたり(予め手足の絵があり、症状のある場所に色別に塗り分けたり)、コメントを入れたりすることができるようにしました。

災害マップ

東京都の災害医療ネットワークで渋谷・目黒・世田谷区が1つのグループになっています。施設の地図(Googleマップ)を表示することができ、患者さんに実際に別の病院へ行ってもらうときなどにも使用できます。実際に災害が発生したときに、どこの病院が何人受け入れられるか(患者さんが引っ越したりで場所が変わっていることなどもあるので、常に最新のデータを入れている)を調べることができます。

院内SNS

申し送り・マニュアル・告知の内容・議事録などのドキュメントアップをして全員で閲覧することができます。また患者の要望やクレームがあったときに、決定権のあるスタッフ(委員長や管理職)がおらずその場で答えられないときでも、その人が外出先で確認ができて、その場で指示ができるので、早く対応することができるようになりました。

ほとんどのデータが院内のネットワークにつながっていて、参照ができるようになっているので必要なものだけ引っ張ってきて、追記していきます。

P1050239←iPadを持ってMTGをしている様子

 

3. システム導入後の効果

システムを導入するまでは、患者さんのカルテや治療記録を手書きで行っており、前日から何十枚も患者さんの名前や年齢を記入する作業をしていました。ダイアライザーや注射の準備も、何度もチェックをしているが、マンパワーというところでどうしても間違えが生じたり、変更があった際の確認連絡漏れ等が発生していました。

システムを導入して、最初はPCに慣れていないので抵抗がありましたが、ベッドに各1台ずつPCが配置されているので、その場で入力ができ、また前日の準備が必要なくなったことで時間の短縮になり、始めた当初よりスタッフも少ない人数で対応ができるようになりました。ローテーションが3回ありますが、準備が不要で、PCを開けばその人の情報が表示されるので、事務的な業務が要らなくなりました。また紹介で他の病院から情報をいただくのですが、看護記録や透析の記録が手書きで読めないこともあったり、かつては自分たちもそうだったと思うのですが、今は出力するだけきれいな記録ができるので手間がかからなくなりました。

 

4. 今後の展望

やりたいことがいっぱいあって手が追い付いていない。プロに任せられる部分は任せて、P1050211小回りが利くところは自分たちで作るという棲み分けをしていきたい。

ファイルメーカーは間口が広いので、本格的にプログラムを覚えるのは大変だが、ある程度やり方を覚えてしまえば手探りで作っていくことができる。

本当に診療を必要としている人に時間を割く。より治療をよくする。より質を高めるための効率化を進めていきたい。

 

←展望を語ってくださった市川先生

 

5. 基本情報

 FileMakerバージョン

FileMaker Pro12,FileMaker Server12,FileMaker Go

 使用人数

約65名

 デバイス

PC,iPad 7台,iPad mini20台

 業種

医療

 キーワード

透析,電子カルテ,iPad,データベース一元化

 

6. 取材協力

医療法人社団 明洋会柴垣医院 柴垣圭吾院長

医療法人社団 明洋会柴垣医院 市川匠先生

日経BP社 様

ご協力ありがとうございました!